東京では誰もがコストパフォーマンスの優れたお墓を必要としており、主婦の井戸端会議などでも頻繁に議題となることがあります。お墓とはたんに故人を弔うための施設ではなく財力や権力、生前の功績などを誇示する役割を果たします。中国の皇帝などは生きているうちから自身を神格化するために広大なお墓を建設しました。最近の日本では宗教を必要としていない人たちが増えていますが、財力などを誇示したいという人間の根源的な欲求がなくなることはありません。
東京で宗教を信仰する人たちにとって重要なのは教義が真実かどうかではなく、神や仏のような絶対的な概念の権威を利用できるかどうかです。絶対的な正義で自分自身を着飾れば他者よりも有利な地位に立つことができます。そのため多くの人々が実質的には宗教を信じていないにも関わらず高価な墓石を建てたりします。人間の他者に対して見栄を張りたいという欲求には際限がなくキャバクラやアイドル、ホストクラブなどに莫大なお金を注ぎ込むケースも珍しくありません。
贔屓のキャバクラ嬢やアイドル、ホストをナンバーワンにして財力を誇示したいと思う気持ちと高価な墓石を購入したという気持ちは基本的に同じものです。宗教を運営する団体の眼の前には神や仏の権威のためならばいくらでもお金を出す人たちが存在します。日本国内に宗教団体は非課税なので莫大な利益を得ることができ、政治的な権力を持つようになるケースも少なくありません。宗教とは利益率の高いビジネスであり、コストパフォーマンスを重視する人たちを対象とした多くのお墓が東京には存在します。
